WBC世界ライト級王座決定戦
ホルヘ・リナレスVSアントニオ・デマルコ
ホルヘ・リナレス
ベネズエラ出身でありながら、日本の帝拳ジムに所属する日本最強のボクサー。
かつて6階級制覇したオスカー・デラ・ホーヤがつけていたミドルネーム“ゴールデンボーイ”の名を引き継ぐ者。
その天才ボクサーが敗れる!!
11R2分32秒TKO負け。
衝撃的な結末だった。
6階級制覇チャンピオン・マニー・パッキャオを育てる名トレーナーのフレディ・ローチを迎え臨んだ試合。
パッキャオとも30ラウンドにも及ぶスパーリングを積み重ね自信を深めたはずだったのだが、脆くも3階級制覇の夢は断たれた。
序盤からスピードとテクニックで圧倒するリナレス。
浅い回でのKO勝利も間違いないだろうと思われた一方的な試合展開だった。
しかし中盤、相手の頭突き(公式のジャッジではパンチによるものと判定された)により鼻骨骨折と鼻の亀裂で大量の出血。
血が目に入りパンチが見づらい、呼吸がし辛くなると同時に酸素不足でスタミナも奪われていく。
そんな不利な状態でもボディーワークでパンチをことごとくかわし、ボクシングセンスを魅せつけたリナレスだったが、終盤ついにスピードと体力が鈍りだす。
一瞬動きが止まったその隙をデマルコは逃さなかった。
長身から振り下ろされるパンチをもろに受け効かされる。
後ずさりするリナレスを見て一気にラッシュ。
それでもさすがは天才リナレス、防御テクニックを駆使してほとんどパンチをかわしながら打ち合いに応じる。
が、全てのパンチをかわすだけの余力は残ってはいなかった。
デマルコの渾身のパンチがさく裂。
怯んだところに連打を浴びせられ無念のレフリーストップ。
ここまでのポイントでは大きく差を広げており、判定になればリナレスの勝利が決定的だっただけに、打ち合いに応じた作戦が裏目に出たようだ。
世界最高のボクシングテクニックをもってしても勝てない試合がある。
まだ26歳とまだ若い天才ボクサーに、ボクシングの神様はまた試練を与えたようだ。